新連載　―「人生学」講義　第1回　―
2016年11月29日（火）広島県東京事務所会議室で開催した第1回学生応援セミナーの講義を連載でお届けいたします。
第1回目の講師は、東京広島県人会会長の大竹美喜氏（1939年生まれ。1974年アメリカンファミリー生命保険会社日本社を創業。2013年教育再生実行会議有識者委員）です。

「人生学」講義　第１回　大竹美喜氏
【３】逆境にこそ夢がある

現在の私の心境を申し上げますと、日本国全体のことを考えているわけでございまして、この国の成り立ち、歴史ですね。それから、この国が世界地図の中でどういうところに位置しているのか。その中に我々は生まれ育ってきているわけでございますから、大袈裟かもわかりませんが、一人一人が哲学するということがすごく重要なんですね。その中で世界貢献をしなきゃならないし、もっといえば皆さんが社会人として立派な幸せな家庭を築かれて、幸せな人生を歩まれることが一番でございますけども、ただそれだけが人生ではないわけでしてね。やはり「世のため人のため」自分には何ができるか、これを常に自問自答していただくことが一番大切だろうと私は思います。

私自身のことを申しますと、小学校4年生の頃、自分の人生についてしっかり考えをまとめることができたわけでございます。生まれたのが広島県の庄原というところでございまして、雪も１メートル以上積もる地域でございましたから、雪が降ったりすると、学校までたどり着けないで、途中で川に転落して、家に引き返さなきゃならない、という非常に厳しい環境の中で育ったわけでございました。それも私の人生のすごく大きな力になったと、今にして思うと、そう思いますね。広島市内のすごく快適なところで生まれ育ったら、今日の私はないと、そういうふうに思います。

逆境の中にあったからこそ私があるわけで、20歳過ぎてアメリカに渡って散々ないじめにあったことも私を鍛えてくれて、強靭な精神の持ち主にもなれたし、今なお挑戦し続けているわけでございますけれど、皆さんはこれから社会人になる一歩手前というところでございますけども、何を申し上げたいかと言いますと、自分というものを正しく認識できる人間になってほしいということなんですね。自分はいったい何者なのか、何のために生まれてきたのか、何をしようとしているのか。このことを哲学することがすごく重要ではないかなあと私は思うわけです。

私が生まれましたのは第２次世界大戦の終戦前で、６歳のときに終戦だったわけですから、もう私は80に近い年齢なんですけども、自分の人生を振り返るだけでも長い歴史を感じざるをえないわけですけども、皆さんはまだまだ学生でいらっしゃるし、これからどんな夢でも実現可能です。

あとは自分の意志というか、意欲をご自身で掻き立てるような環境に身を置くことが一番大切ではないかなあと思うわけで、私は「逆境にこそ夢がある」という言葉が大好きで、平坦な道のりを歩むことは好きでなくて、子どもの頃から、人様が歩いたことのない道、獣道を歩くというのが私の哲学であって、それが今日の私を作り出してくれました。それは散々な苦労がありました。

本当にいろんな人生があっていいと思うんですよね。それは一人一人が選択することでありますから、これがベストだ、ベターだというふうなことはないと思うんですよ。その時その時に立ち止まって考えて、道を変えていくことも大切なことでございまして、特にこれからの時代というのは信じられないような速さで世の中が一変します。ということは、一度就職したところで定年を迎えるということはないと、私は個人的には思っています。

私にも、来年の春、社会人になる孫娘がいます。またその翌年には、孫息子が大学を卒業して社会人になります。この孫たちに私はどんな夢を馳せているかというと、やはりそれぞれ哲学させようと。自分は何のために生まれてきたのか、どこに行こうとしているのか、それを常に考える人間になってほしいというふうに考えているわけです。孫は自分の子どもよりもっとかわいい、私にとっては宝みたいなものです。だけど、生易しい人生を歩んでほしくないんで、本当に自分に厳しい人間として、いい一生を送って、悔いのない人生を歩んでほしいと心から願っているわけで、そのためにはどういう環境の中に身を置いたら一番いいのか、即かず離れずという一定の距離を置いて、それとなく導いているわけでございますけど。皆さんは孫とほとんど同年齢といってもいいと思うんですよね。だから、皆さんに申し上げたいことは、孫に私が常に言っていること、そして孫を導いていることを若干紹介させていただいたわけです。

＞【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより①
＞【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより②
＞【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより③

第2回広島U-30応援セミナーを11月22日に開催します。
お申込み・お問合せは、東京広島県人会事務局まで。