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東京広島県人会

事務局便り

【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより⑦

新連載 ―「人生学」講義 第1回 ―
2016年11月29日(火)広島県東京事務所会議室で開催した第1回学生応援セミナーの講義を連載でお届けいたします。
第1回目の講師は、東京広島県人会会長の大竹美喜氏(1939年生まれ。1974年アメリカンファミリー生命保険会社日本社を創業。2013年教育再生実行会議有識者委員)です。

「人生学」講義 第1回 大竹美喜氏

【7】学生からの質問①
学生:
経営者、雇う側から見て、どこに行っても価値のある人間とは、具体的にどういう人間なのか、教えていただきたい。

大竹氏:
価値というのはね、要するに自分が考える価値と、第三者が価値ある人間だと評価してくださる、大きく分けて二通りあると思うんですよね。ですから、何のために生まれてきたのかと哲学する人間になれば、価値ある人間だと私は思うんです。皆さん自問自答なさったことあると思うんですが、やはり第三者が評価する場合にその人間の価値をどう評価してくれるか、就職なさったら必ず職場で評価基準に基づいて評価されちゃうんですね。ですから、価値ある人間になっていくためには、どういう条件を備えてなければならないのかということを今から考えておかれたらいかがでしょう。

哲学的な話になって恐縮ですが、自問自答して、自分を磨き上げていく。今まで一方的に大学なんかで学んでこられた。学校の先生の言うことをノートして、試験のときに答案用紙にそれを記入して、合格点をいただけるか落第点をいただくか違いがあるかと思いますが、人生というのはね、そういう大学の受験のようなものではないのです。非常に複雑多岐にわたる評価をされるんですよね。自分で採点できない。第三者が評価する。評価項目もたくさんあるわけですよ。そういうことが社会の実態なんですよ。時代とともにまた、これ変化するんです。

日本という国は独立国として世界をそんなに意識しないで歩んできたわけですよ。で、グローバル社会に突入しましたね。そうすると慌てふためいているのが日本なんですよ。失われた20年といってもいいですね。これが今の日本国なんですよ。戦後日本は大成功を収めたんですよ。世界のトップクラスまで躍り出た。それが今、ランクでいうと30位ぐらいに落っこっちゃったんです。

なぜか。やはり成功したもんですから有頂天になった。日本が得意とするものまで諸外国に先を越されてしまったというのが今の日本なんですね。したがって自尊心も失われてしまった。そんな国民ではないんですよ。第2次大戦の敗戦から立ち上がって、世界のトップまで歩むことができた国なんですが、油断をしたために転落しちゃった。今それを大急ぎでまた元通りにしようと、安倍内閣では教育再生実行会議なんかやっているわけで、もう一度日本国民に自信を取り戻していただくための処方箋を書いているわけです。これ、時間がかかります。

皆さんはちょうど端境期というか、そこに差し掛かっていらっしゃるわけですよね。グローバル人材なんて、何をグローバルというのか、皆さんどこまで正確に把握されているかわかりませんが、アメリカ合衆国なんかと比較すると非常に愕然とするんですけど、アメリカ合衆国は多民族の国家ですから、世界の優秀な方がどんどん吸い寄せられて、日本からもずいぶんアメリカに渡って住みついた人がたくさんいるわけですよね。日本なんかは逆にいうと、世界の人を吸引する力を持っていないんですよ。これが今の日本なんですね。ですから、日本国家としては今、技術革新もしなきゃならないし、精神構造も変えなきゃならないし、あらゆる端境期に来ているんですよね。また、海外の優秀な方もどんどん日本に招かなきゃならない。

一例を申し上げますと、今度、新しい医学部を、国際医療福祉大学というんですが、これを私は作るときから手伝ってきたんですが、医学部の新設を40年ぶりぐらいに認めていただくことになりまして、世界トップクラスの学生を招いて、学んでいただく。もちろん海外からも来ますから、英語による医学教育をやるわけですが、世界で活躍する医師を養成する。こういうことも実は日本国はできていなかった。日本国はグローバル化できなかった。ドメスティックな社会を作っちゃった。その中で皆が傷をなめあって喜びあっていたというのが今の日本なんですよ。高度経済成長という恩恵も受けて、それで安心しきっていた。ところが、世界は一変したんですね。

大事な人生ですから、一人一人が責任ある選択をされていると思うんですけども、社会に出てみて全く自分の理想と違っていましたということも起こりうると思うんですね。そういうときにはよき相談相手を今から見つけておかれたらよろしいのかなと思います。私はサラリーマンの経験がないから語る資格はございませんけど、サラリーマン生活をなさった方々というのは、やはりよき相談相手になっていただけると思います。

ただ日本の教育はね、私は教育再生実行会議の委員をもう4年務めていますが、日本の教育そのものが欠陥教育でありまして、皆さん全部犠牲者です。社会で通用しない、自信を失わせるような教育ばかりやってきたのは、文科省の責任だと私は思っております。そんなことで今まで学ばれてきたことの中で価値あるものは残されたらいいけど、逆に補わなければならないことは早急に補っていく。そのためにはよき先輩が必要になってくる。相談相手になってくれる人が必要になってくる。だから一番大事なのは友達であり、社会において活躍されている人を師と仰ぐ。先生を早く見つけることが大事だと。たとえば住川さんは日本銀行で長年働かれて、今、広島銀行の社外取締役をなさっていらっしゃるわけです。そういった方にご相談いただけると、皆さんにとったらよき相談相手になっていただけると思われます。

金融機関も大きな転機を迎えております。製造業もそうかもしれません。すべての社会において激動の時代ですから、ちょうど皆さんそこに身を置いていらっしゃるわけですから、やはり先生を探し出して、先生から指導を受けることが何よりも大切。我々の時代もそうでした。本当によき恩師に恵まれたから私があるわけで、私は感謝しておりますけれど。もしそういう方に恵まれていなかったら、今日の私の人生はなかったというふうに私は思っております。

 

 

 

>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより①
>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより②
>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより③
>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより④
>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより⑤
>【「人生学」講義】 第1回学生応援セミナーより⑥


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